2020年3月22日から行われているフィギュアスケートストックホルム大会の試合を観ている中で、
ロシアの選手の国の表記が「FSR」となっているのはなぜか、疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
FSRとは何なのか、なぜ今大会はこのような表記を用いているのか等について、詳しく見ていきたいと思います。
もくじ
FSRとはどういう意味?
FSRとは、「ロシア・フィギュアスケート連盟(フィギュア・スケーティング・ロシア)」の略称として使われています。
2021年3月22日~28日の間に行われるストックホルムでのフィギュア世界選手権2021に参加する際、
ロシア人選手は今大会ではフィギュアスケート連盟として参加するかたちをとっており、「FSR」の旗印の下で出場することになっています。
ロシアの選手がFSRで出場する理由は?
では、なぜロシア代表の選手たちは国代表としてではなく、FSRとして参加しているのでしょうか。
その理由には、ロシアのドーピング問題がありました。
ロシアはドーピングを行っていたペナルティとして、現在国際大会に参加できないことになっているため、ロシア代表ではなく「FSR」として参加しているのです。
今大会、ロシアからは、女子はアンナ・シェルバコワとアレクサンドラ・トゥルソワ、エリザベータ・トゥクタミシェワが、
男子はミハエル・コリヤダとエフゲニー・セメネンコがエントリーしていますが、いずれもロシア・フィギュアスケート連盟(FSR)の選手として参加しています。
また、国代表ではないため国旗、国歌など国のシンボルの使用を禁止されたため、
表彰式では国旗や国歌を使用することができず、国歌の代わりにはチャイコフスキーの『ピアノ協奏曲1番』が使用される予定となっています。
ちなみにロシア代表の代わりとして使う名称は大会によって異なるそうで、
今夏の東京オリンピックと来年の北京五輪は「ROC(ロシア・オリンピック委員会)」を用いる予定の他、
過去には18年平昌冬季五輪の際は、ロシア・オリンピック委員会が資格停止中だったため「OAR(ロシアからの五輪選手)」を使用し、
17年と19年の陸上世界選手権では、ロシア陸連が資格停止中だったため、「ANA(中立の選手)」という略称が用いられたそうなので、
FSR(ロシア・フィギュアスケート連盟)はフィギュアスケートのみの国際大会にだけ使用されるか、
もしくは次の大会では変更される可能性もあるので、今回のストックホルム大会限定で使用される可能性もありますね。
ロシアドーピング事件とペナルティの内容
最後に、ロシアが国際大会に出場できなくなった原因である、ロシアのドーピング事件について見ていきたいと思います。
ロシアがドーピングによるペナルティを受けることになった経緯としては、
ロシアがドーピング検査で陽性反応が出た自国の選手に関するデータを改ざん・削除した問題を受け、
世界反ドーピング機関(WADA)は、2019年12月にロシアに対し、国際大会への4年間の出場禁止処分の措置をとり、
そのロシアに対する処分の正当性をめぐる仲裁の結果、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、
昨年2020年12月16日、ドーピング問題によりロシアの国際大会への出場を2年間(2022年12月16日までの間)禁止することを発表しました。
処分の期間は2年間が妥当とするCASの裁定により、当初の4年から出場禁止期間は半分に短縮されたものの、
今後ロシアは今回のフィギュア世界選手権2021ストックホルム大会以外にも、
21年に延期された東京五輪、22年ユージン世界選手権へのロシア選手団としての出場ができないということになります。
期間中は国際大会での国旗・国歌の使用が禁止される他、主催者等に招待された場合を除いて、大統領等の政府関係者が大会へ出席することも認められないことになります。
ロシアの選手については、特定の基準を満たし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)により認められた選手は中立選手として、期間中の国際大会への参加が可能となるそうです。
そのため今回のフィギュアスケートのストックホルム大会でロシア・フィギュアスケート連盟(FSR)として出場している選手は中立選手ということになりますね。
まとめ
フィギュアスケートでロシアの選手が国名のところに「FSR」表記を使用していたのは、
ロシアがドーピングを行っていたペナルティとして、昨年12月からロシア代表として国際大会に出られないことから、
国代表ではなく中立の立場としてロシア・フィギュアスケート連盟(FSR)の選手として出場していることがわかりました。
2022年12月16日までの間はこの措置がとられるということで、
フィギュアスケート以外でも、今後の五輪などの国際大会にもロシアという国名でなく別の名称が使用されることになりそうなので、
ロシアがドーピング問題により、国として国際大会出場禁止となっている事情については今後も覚えておきましょう。